映画 怪物 を見たよ。

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どうもどうも、こんばんわ、サンドラ・ブロックです。

同僚のKさんから強く勧められていたこちらを
先日の20日木曜の晩にようやく見ました。

以下、ネタバレ炸裂で行きますので、よろしくどうぞ。


とにかくすごい作品。としか言いようがなく
如何様にも見れる、受け取れる、解釈できるようになっています。

安藤サクラさん演ずる湊くんのお母さん視点で
最初どんどん進んでいくので
「そういうことなんだなー」という体で見ていきます。
どうしようもないクソみたいな教師(瑛太)と学校の反応。
ただただ、憤りしかないわけです。

ていうか、田中裕子ー!キミはそんな人ではないはずだー!
なんなんこれはー!ちょっとー!目を覚ませー!

なんて思いながら見ていたわけですけども

近所のスーパーで見かけた校長先生(田中裕子)が
暴れまわっている子どもに、しれっと足をかけるのを見てしまったり
そらもうね。不信感しかわかないわけです。
ただ謝りゃいいってもんじゃないだろうがよー!と
そしてその謝り方にも、もうちょっとこう、あんだろうがよー!と
とにかくお母さんサイドの視点にこっちも立ってるんで
どーしてくれんだよ!となっていくわけです。

しかし途中から、ふわっと違う話になっていく。
もう一度、最初のビル火災が始まるので
あ、もう一度最初からなんだな、というのがこっちにもわかる。

そう、今度はクソ教師(保利 / 瑛太)の視点。
クソ教師は、全然まったくクソ教師ではなく
真面目に、一生懸命な良い先生だったのでありまして
なんで湊くんが、そんなことをいうのかさっぱりわからないし
ただただ、とにかく謝っとけばいいからみたいな
学校に対しても不満と憤りが胸に湧きつつも
それでもとにかく自分は無実なんだと思い
ただただ、学校側の指示に従っていく道を選ぶしかない。

湊くんのお母さんは、モンスターペアレンツにしか見えないし
学校はただただ謝れと言うし
話はどんどん大きくなって学校辞めさせられちゃうし
彼女はいなくなっちゃうし
家にも記者がやってくるようになっちゃうし
どんどん、どんどん、逃げ場がなくなっていく。

そんな中で、湊くんが依里くんをいじめてるのではと思っていたが
そうではなかったんだ!ということに気づいて
湊くんの家に走って行き、謝りまくると同時に
台風直撃している早朝に湊くんがいなくなったと
動揺して探している母親と遭遇。そして探し回る。

息子の”秘密基地”の場所を知ってる母親が
保利といっしょにそこにたどり着くと
瓦礫に埋もれた”秘密基地”が!そして子どもたちの姿が見当たらない。

そしてまた、ビル火災が始まるので
あ、また最初からなんだな、と気づく。

今度は校長先生目線?と思いきや
湊くん目線で、騒動の真相が見えてくる。
湊くん目線で初めてわかってくるアレやコレ。

母親からは、虚構の父親像を押し付けられる毎日。
先生からも、男らしく!友達からも男らしく!と見えない圧がかかる。
いじめられている依里くんとどんどん仲良くなっていく中で
知らず知らず、本当に本人たちもわからないままに
進んでいく友情や愛情。

理由もわからず、何故か嘘をついてしまう湊くん。
それがどんどん話が大きくなっていくのに戸惑う。
戸惑うがもう止められない。止めようがない。

たまらず、校長先生に打ち明ける。
校長先生は怒るでもなく「そっかー、嘘ついちゃったかー」って。
「あたしと同じだー」って。
そして二人で、金管楽器を吹く。ただただ、吹く。

ああああああああああああ!これぞ田中裕子!おおおおおー!(泣)

田中裕子さんは、やはりすごい女優さんで
「女優 of 女優」なのであって
心に響く名台詞を、ポツッ、ポツッと言う。くーーーーっ(泣)
田中裕子キタコレー!であります。


依里くんは家で虐待を受けている。
父親は、依里くんの「性的指向」を見抜き
それを治してやる!と折檻する。豚の脳、というのは
保利先生ではなく、依里くんの父親が依里くんに投げつけた言葉。
そして、おばあちゃんの家に預けられ、転校すると言う。

「ボクもう治ったんだ!
おばあちゃんちの近くの◯◯ちゃん(女の子)が好きなの!」

しかしそのすぐ後、治ってないんだ!嘘だよ!と言う依里くんを
父親が腕尽くで家の中に引っ張っていき、折檻する音が聞こえる…。

そして次の日の早朝、湊くんは依里くんを救いに行き
二人で”秘密基地”に逃げる。二人だけの世界。幸せの世界。

ボクはねー、最後、彼らは死んじゃったんじゃないの?と思ってる。
最後、あまりにもキラキラで子どもたちが輝きすぎてたし
いつもは水色の鉄の柵がかかってて
向こう側にある廃線路と廃トンネル側には行けなかったのに
最後のシーンでは、その水色の柵がなくなってて
わー!って、普通に走って行けちゃったでしょう?
そのことからも、亡くなったんじゃないかな、って。

ラストシーンは、天国の二人だったんじゃないかなって。

真実はひとつ。
けれども、その真実は、関わってる人の人数分
様々に姿を変える。その「人数分の真実」が怪物だったのではと。

どんどん、どんどん、かけちがっていく
人と人との関わり合いや反応や行動が分岐となって
「その人それぞれの真実」を増産していく。

子どもたちは、それぞれ、ただただ一緒にいたかった。
でもそれが学校や社会では「叶わないこと」になっていて
何故かはわからなくても、そのことが子どもたちには痛いほどわかっていて。

すごい映画でした。監督すごい。脚本家すごい。キャストみんなすごい。
映画で、フィクションであるけれど
ドキュメンタリータッチだからか、ものすごいリアリティがあり
見終わってからもしばらく、湊くんたちどうしてるかな?なんて思ってしまったり
彼らみんなが「本当にどこかの街にいる」感覚が残った。

世間で騒がれる事件やゴシップは
本当に、本当の、真実とは違うものも多いのだろうと思う。
校長先生の言う「やったかやらないかは関係ないんだよ」
本当に、このひとつなのかもしれない。

群集心理、母親の一途に子どもを守ろうとする心理が
一度動き出したらもう、誰にも止められない。
ほんの小さな噂が、あり得ない方向に拍車をかけていき
人たちの心理を煽りに煽って、思いがけない方向に進む。

コレは今も、昔も変わらないのだろうな、と思う。

怖いのは、怪物とは「そのこと」を言ってるのだろうと思う。

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