誰も知らないを見たよ。

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どもども、こんばんわ。ネアンデルタール人です。

先日、同僚のKさんが
ボクにどうしても「万引き家族」を見てほしいと言って
そんなに言うならと、アマプラを見たら
なななんと「万引き家族」は有料になっていたのであって
あうあうあー!つって
仕方ないなーと、公開になっていたところの
話題作だった「関心領域」を見ようとしたところ
いつまで経っても、気味の悪い音楽と真っ黒画面が続き
何だかとっても怖くなってしまったので止めて

ずーーーっと気になっていたところのこちらを
知らぬ間に見れなくなってはいかん!つって見ました。

以下、ネタバレまくりです。


皆さんも御存知と思いますが
この作品は実際に起きた「巣鴨子供置き去り事件」をモチーフとしていて
この手の事件は、ボク自身がネグレクト被虐待児であるため
追体験してしまって、具合が悪くなること必須と思い
ずっと見ないで避けていた作品なんだけども
例え見て、また具合が悪くなったとしても
過去の自分を振り返る契機と捉えて向き合えばいいと思い直して
意を決してみたのだけれども

まー・・・

お母さん役であるYOUが、異常に憎めない人なのであって
ボクが被虐待児だからかも知れないけど
たまに帰って来るお母さんを心待ちにしてる子供達の気持ちとか
帰ってきた時の嬉しさとか
生活費を置いていった時の気持ちとか
生活費がまた置いてあった(劇中は送金される)時の気持ちとか
お母さん、いつもいないけど、とにかく大好きな気持ちとか
全部、自分の中にすでにある気持ちがあるので
お母さんを責めるような気持ちになれなかった。

逆に置いていくお金が数万円だったりするのを見て
「全然多いじゃん・・・」とか思ってしまうボクのところには
いつも1000円だけだったからさー…まあ、年代が違うけどもさ。

数万円も置いていかれたら
子供だからパーッと使っちゃうんじゃないか?と思ったりしたけど
みんなを任されている、お兄ちゃんの明は、全然そんなことなく
しっかり家賃や光熱費などを支払い
家計簿をつけて、食料を買い、料理もして
きちんとみんなの暮らしを守っていくもんだから
すごいなー!@@
学校に行ってないはずなのに
字を書いたり読んだりすることはもちろん
計算もしっかりできるということは
お母さんのけい子は、よほどしっかり教育したんだろうなと。

実際、ドリルをやって勉強してるシーンもあったり
子供達にきちんと役割分担をさせてたり
しっかりした教育をしてるわけです。

それにしても、子供達4人とも違うお父さんで
全員、自宅で出産し、届けもしていない状態というのはつまり
一切の福祉の世話にならずに母親一人で
本当に、一人で育てているのであって
ものすごい頑張り屋のお母さんでもあるわけです。
とっても「気の毒で不幸なお母さん」のはずだけど
明るく可愛らしく、子供達にも優しい、好いお母さん。

ただ、お母さんは、自分の幸せを見つけたかった。
子供達のことは大好きだけど
自分の幸せを見つけたかった。

これは、母親なんだから、自分の幸せより子どもの幸せだろ!と
そういうのは簡単なことなのであって
想像してみてほしい。
どんなに好きになった相手も、全部ことごとく
甲斐性なしのポンコツで、逃げていくやつばかりで
一人で自宅で出産する気持ちを。
そして、一人で福祉の世話にもならず育てる毎日を。

またボク自身、一人で娘を生んで育ててきた当事者だけど
ボクの場合はちゃんと病院で産んだし
数ある行政の福祉は余す所なく利用してきたし
それでも本当に大変だったから
たった1人で4人の子育て。教育。仕事…って
想像を絶する大変さだったのではと思う。

それもあって、実際の事件でも
お母さんは執行猶予付きの判決だったのだそう。

こういう事件があると、必ずお母さんだけが罪を背負うけど
お父さんは何してんの!?っていつもなる。
子どもは母親だけではできないんだが!?(怒)と。

映画では、あくまで事件をモチーフとしただけであるので
いろんなことがマイルドになってるのだけども
母親がいなくなってお金が尽きそうになると
父親たちのところに行ってお金を無心する明の姿も描かれてて

あー!これボクもやった!
父親のところに行って、高校に入学できたんだから
自転車くらい買ってほしい!とお願いしにいったことある。
そして、3歳くらいのボクが一人で夜留守番してた時に
内緒で父親がやってきて、お菓子やぬいぐるみをくれたこともあり
あの空気!あの空気がわかるっ!と泣けてきたり。

また、ボクはボク一人だったから
ボクのことだけ考えてたら良かったけれど
明はみんなのことを考えなくてはならず
それがどんなに大変かと、また涙。

見てる間に何度も何度も
うわーん。おばちゃんちにおいでー!
全部ちゃんと整えて、学校にも行かせてあげるよー!(泣)

となったのであって

でもね。子どもは、子どもだから
「現状」を受け入れて、ただ毎日を生きるしかない
その状況、空気、気持ちも痛いほどわかるから
お兄ちゃんの明がもうもう、切なくて切なくて。

そして、一番下のゆきちゃんの可愛さが異常だなと思ってたら
あんな事になって…。

実際の事件では、不良のたまり場になってしまった中で
2歳の一番下の弟が泣き止まないと言うんで
押し入れの高さから何度も、その子の上に飛び降りるなどして
死なせてしまったんだって言うから、これまた居た堪れない。

劇中では、不慮の事故で亡くなるということになってたけど
いずれにせよ、ああいう子供達だけの閉鎖空間で
子どもが死んだ場合、子どもは、どうすることもできないのは言わずもがな。

ゆきちゃんが大好きだったアポロをたくさん買って
約束していた飛行機を見に行こうというのを果たすため
スーツケースに入れて飛行場に運んで、お墓を作る。
子供達はどんな気持ちだったか。
そんな事を考えてもなお
ボクには、母親を憎む気持ちがでてこなかった。

なんでお母さんがいないんだよー!(怒)
とはならなかった。
お母さんは、お母さんの幸せを掴もうとしてるんだと思った。

明がいつか電話した時に
違う名字で電話を受けた母親の声を聞いた瞬間
明も悟ったんだと思う。ああ、もう母親は帰ってこないと。

明は本当に良い子で賢い子で
どんなにお金が逼迫していても
決して、万引きをしようとはしなかったし
援交で稼いだ「汚いお金」は受け取ろうとしなかった。
母を責めるような言葉ももちろん言うけれど
なんというのかな、とにかく受け入れていくしかできないんだよね。

それが本当にわかるから、尚の事辛くて。

兄弟思いの明を演じたのは、柳楽優弥さん。
今は立派な青年になっていて
Disney+でずっと気になっている「ガンニバル」で主演を演じてるけども
それはそれは大変な名演技でカンヌで最年少の男優賞を受賞してて。

なんでも、是枝監督は
子役には、台本を渡すのではなく
現場で直接セリフを伝えて演技させるという手法を取ってるのだそうで
少し前に見た「怪物」でもそうだったけども
それもあってか、みんなとても自然で「本当の姿」にしか見えなくて
エンディングもふわっと終わらせてあったこともあって
あの子達は、今元気にしてるだろうか、笑ってるだろうかと
ずっと考えちゃったりもしてね。

実際の事件の方では
不良のたまり場になっていたことから通報を受け
ニュース沙汰になったのを見た母親が慌てて駆けつけ
お兄ちゃんは施設へ、お姉ちゃんと妹は母親とともに暮らし
お兄ちゃんは学校で生徒会長になるほどしっかりと卒業し
今では、家庭を持ち幸せに暮らしてる。ということだったけど

こういうような状況下にある子ども、お母さんは
こうしている今でも、どこかにいるんだろうと思う。

劇中でも「誰も知らない」ではなくて
いろんな大人たちが、子供達の存在に気づいてるのに
具体的に助けようとはしない。

警察や福祉の人に相談したら?という人に対し
明は「それはできない。4人で暮らせなくなる」と拒否するし。

お母さんがちゃんと市役所に行って
子供達のこともちゃんとして
手当とか支援を受けて、子供と自分の暮らしのことだけ
それだけ考えていれれば…とは思うけれど

実際の事件では
最初の結婚の際、子どもの小学校入学通知が来ないのを不審に思い
市役所で調べたら、入籍も出産届も出されておらず
夫だと思っていた男は蒸発。というのが始まりだったそうで

劇中では、そこら辺は描かれてなかったけれど
母を責める明に「悪いって言ったらあんたのお父さんはどうなのよ!」
そう言って責める母親の姿があったり…。

今、これを打ちながらも、ハラハラと涙がこぼれるんだけど

ボクの中に、まだ、それでも大好きだった母親
会いに来てくれるのを待ち焦がれていたあの時の感情が
まだまだ無くならず、心の奥にしっかりとあることを感じ
1月に母を看取ったけれど
お母さん、あの頃、お母さんは何をしていたの?と
何度も聞いたけど答えてくれなかったことなんかまで思い出して

闇落ち、というのではなくて
逆にしんみりと、今、やっと開放されたのかなボクは?
とか思ったりしています。

ついつい長くなってしまいましたが
結論的には「見て良かった」と思います。

そして、今の自分に出来ること
ずっと僅かながらに続けている、貧困家庭の子供達への支援を
とにかくこれからも続けていこうと。
もしも、もっと余裕ができたら、額も増やしたりしてみようと
そう思ったのでした。

世界中の子供達が、お母さんたちが
幸せに子育てできる世の中になりますように。

心からお祈りいたします。

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