この曲はまさに『黄金の80年代サウンド』の一つと思う。
今だって聞く。全然聞く。大好きだから。
この曲が収録されているアルバムは
今でも大好きでよく聞くけれど、肝心のニックのことは何も知らない。
知らないなりに一番好きなのがこの曲。
『Wide Boy』とは、不良少年という意味だ。
すっかり落ちぶれた様子で
孤独に酒を飲む男のところに
一人の男がやってくる。そして・・・
レコードを出し
それが売れに売れて一躍スターになり
大金を手にして、すっかり調子に乗っている若き日の自分・・
そんな昔を見るストーリー。
君はスーパーマンなんかじゃなく
ただの不良少年だということを伝えにきたんだ。
君はただの不良少年。
彼は一夜にして成功を手にした。
大金を掴んだ。
でも、彼はただの不良。
大したことなんかない。と繰り返される。
そして、引用したセリフで締められる歌なのだけど
対するボクは
大金をせしめたこともなければ
成功もしたことなくて
骨の髄まで『大したことなんかない人』だ。
それでもね。
これまで本当に長いこと
自分が生まれた環境(それはかなり劣悪だったんだけども)から
脱出することばかり考えていて
なぜなら、そうする資格があると思ってたからなんだけど
自分は『こんなとこじゃ』終わらない人間である。
なんて本気で思ってきた。思いこんで思いこんで、信じ切って疑ってなかった。
実際のところ
先も言うたように大したことなんかないけど
それはそれとして、元いたところよりは
ちょっといい・・・ちょっとばかし上の・・・フィールドまでは行ったことがある。
で、そこまで行って
ま~だまだ・・・。
とか思ってたわけで。
ところが最近やたらと感じるのが
元いたフィールドに戻さんとするのような事象。
元いたところは・・・ほんとにどうしようもない場所で
でもそれは、時代のせいだったのかもしれないし
九州のド田舎だったからかもしれないし
やっぱり、ボクの家族や親せきなどの大人が腐ってたのかもしれない。
ホントのところは知る由もないけど
とにかく非常に具合のよろしくない環境下に生まれ育ち
酷い具合に放置されてろくでもない暮らしをしてきた。
ただの貧乏、ってだけではない具合の悪さ。
そんな中で育ったボクは
当然のように『不良』と呼ばれていたし
一般的価値基準で見たら、確かにそうだったのだろうと思う。
若さゆえ、というだけでなく
生きることだけ、夢見ることだけで精いっぱいだったから
それ以外のことは、本気で何も考えちゃいなかった。
とにかく必死だから、人のことなんか知ったことかだったし
思いやりを持って人に接する、なんてことも
ちゃんとやれてなかったように思う。
やたらつるんでた仲間は大勢いたけど
友達なんかじゃなかったし
先生たちは何かって~と
みんなをひきつれてボクが悪だくみをしていると信じ込んで
そうやって言っては殴ってきたりしてたけど
ほんとは誰も友達なんかいなかった。
誰一人として、ボクに従おうなんてやつはいなかった。
ボクは大抵、何やら悪いこと、てのをやる時はひとりだった。
ひとりで・・・悪い人たちのところに行き
ひとりで・・・悪い人達と仲良くして
ひとりで・・・とにかく食べるために、自分の身なりを整えるために
なんだってやってきた。
けど、腹の中ではずっと
自分の居場所は、こんな腐ったとこなんかじゃない。
そんな風に漠然と、でもとても強く、信じ切ってた。
自分には品格というものがあり、品性があり
なんだろう・・・本当はとても高尚な人間だ、なんて思ってた。
で、それはそれで、そこそこうまくやってると思ってたんだけど
最近とにかく『一般の皆さん』と自分との差異が
これまでよりもさらにさらに大きく見えて仕方ない。
未成年の頃、自分よりずっと年上の恋焦がれた相手に
『ここから先は、君の来るところじゃない。』と言って
後ろ手にドアを閉められた時の・・・
あの時の・・
まさにあの時の感覚。
今自分は、行こうとする道にあるドアに、手をかけるや否や
どれもこれもが、バタンと鼻先で閉められ続けてるかのよう。
ドアというドアが、すべて。
ここから先はおまえんじゃない。と言われてるかのよう。
そして後ろを振り返れば
『ただの不良』の自分がいるわけだ。
不良というのは、非行のことではないよ。
人として欠陥品である。ということだ。
もともと欠陥品なんだから、部をわきまえろ。ってことなんかなと
ほんとに最近はそんなことばかり。
しかし今さら、元の場所に戻るのもきつい。
簡単に戻れやしない、かなり遠くまで来てしまってる。
すっかり『ボクは違うとこの人なんで』みたいな顔して生きすぎた。
後にも先にも行けない
けもの道に入ってしまった感覚。
一般の皆さんは、どこらへんですか?
ボクは今、どこにいますか?
今いる場所がわからないよ。
ここは、いったい、どこらへんなんだろう。
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